本おしうり堂

文芸書、漫画などの感想を扱ってます。
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クビキリサイクル―青色サヴァンと戯言遣い
4061822330西尾 維新


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新青春エンタという新しいカテゴリを名乗ってますが、普通のミステリー。若者に人気だとか。わたしはもうおじさんなんで、よく分かりませんがね。

・あらすじ
絶海の孤島に隠れ棲む財閥令嬢が“科学・絵画・料理・占術・工学”、5人の「天才」女性を招待した瞬間、“孤島×密室×首なし死体”の連鎖がスタートする!
工学の天才美少女、「青色サヴァン」こと玖渚友(くなぎさとも)(♀)とその冴えない友人、「戯言遣い(ざれごとづかい)」」いーちゃん(♂)は、「天才」の凶行を“証明終了(QED)”できるのか?

あらすじだけ見れば、絶海の孤島ものとして本格ミステリーっぽいのですが、事件の謎解きよりも島に滞在する天才女性たちのキャラクターを前面に押し出していて、純然たる謎解きを楽しむより、まるで漫画を見てるような感覚でした。

ヒロインの青色サヴァンとは、サヴァン症候群という実際にある病気のことで、何かしらの障害があるけれでも、ひとつの分野で突出した才能を発揮することみたいなのです。
玖渚友が、いかなるハンディキャップをもってどんな才能に恵まれているのか?それは読んでからのお楽しみ。

ミステリーとしてはどうかと思いますが、キャラクターものとしては面白いのではないでしょうか?

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葉桜の季節に君を想うということ
4163217207歌野 晶午

文芸春秋 2003-03
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star推理小説の真骨頂、活字界の真髄
star衝撃の結末をどうとらえるかはあなたの恋愛偏差値次第?
starいい意味で裏切られました

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さすがに2004年度の「このミステリーがすごい」の1位になっただけあって、ラストの展開には圧巻のひとこと。

ひょんなことから霊感商法事件に巻き込まれた「何でもやってやろう屋」探偵・成瀬将虎。彼はひょんなことから自殺しようとした女性麻宮さくらを助け、お互いのことが気になる間柄になる。そして、探偵としての仕事で、高校生のキヨシからある霊感商法団体の調査という仕事を紹介される。

将虎自身の過去のエピソードもおりまぜながら、展開していく物語。さくらとの恋もあり、探偵として霊感商法団体の正体を突き止めるため奔走したりと章ごとにいろんなエピソードが挿入されます。

そして、最後のシーンを読み終えてこの作品のタイトルである

「葉桜の季節に君を想うということ」

をまた見たとき、恐ろしくしっくりくるタイトルであると納得させられます。

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螺旋階段のアリス
4163196803加納 朋子

文芸春秋 2000-11
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おすすめ平均star
star温かみのある話
star不思議の国のアリスが読みたい!
star心温まるミステリー連作短編集

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不思議の国のアリスに出てくるキャラクターや、ストーリーをモチーフにして一つ一つの話が丁寧に作られています。

・あらすじ
大企業のサラリーマンから憧れの私立探偵へ転身を果たした筈だったが―事務所で暇を持て余していた仁木順平の前に現れた美少女・安梨沙。…亡夫が自宅に隠した貸金庫の鍵を捜す主婦、自分が浮気をしていないという調査を頼む妻。人々の心模様を「不思議の国のアリス」のキャラクターに託して描く七つの物語。
押しかけ助手の亜梨沙が非常にかしこい。正直、定年間近の仁木には到底及ばない、発想とエネルギーあふれています。

この作品は、短編をつないでいって大きなストーリーの流れになっています。この著者の加納氏は、日々の生活の身近な題材を使ったミステリーを得意とするひとで、わたしが勝手に命名するならば「ほのぼのミステリー」と言ったところでしょうか。

似たような作風の大家で北村薫氏がいるのですが、加納氏自ら北村氏の影響を受けていると言っているので、この点は問題ないですね。

この連作のなかで、著者が訴えてくるのが「夫婦愛」

生活密着型ほのぼのミステリー。殺人なんて生臭いことは起きません。読後は心温まる一冊です。


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東の海神 西の滄海―十二国記
4062648342小野 不由美

講談社 2000-07
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おすすめ平均star
star一気に読んじゃいます
starあの雁も...
star笑いましょう。そして、泣きましょう。

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十二国記シリーズ第三弾。第一弾の最後で陽子(第一弾の主人公)を手助けした雁国の国王尚隆と麒麟六太の話。陽子たちの時代より480年くらい昔の出来事。

・あらすじ
国がほしいか?ならば、一国をお前にやる」これが、雁州国延王(えんしゅうこくえんおう)・尚隆(しょうりゅう)と、延麒(えんき)・六太(ろくた)とが交わした誓約(ちかい)だった。民らがかつての暴君によって廃墟となった雁国の再興を願い続けるなか、漸(ようや)く新王が玉座(ぎょくざ)に就いたのだ。それから20年をかけて、黒い土は大地にと、生まれかわりつつある。しかし、ともに幸福(やすらぎ)を探し求めたふたりのこどもの邂逅(めぐりあい)が、やがて、この国と麒麟(きりん)と民との運命を、怒濤(どとう)の渦に巻きこんでいく

陽子たちの時代では、十二国の中の2大大国の一つ雁。その治世は500年に及ぶ(もうひとつは南の奏国。こちらは600年)その雁の国王に尚隆がなって20年くらい経った頃に起きた内乱の話。

いかにして雁は大国になったのか?その礎になる人材や心身の心構え。それに尚隆や六太の覚悟が内乱を舞台にして語られる。細かい構成やその筆致はさすがのひとこと。

十二国記のなかでは、この尚隆や六太は人気キャラだそうな。それもうなずけるほど、この作中での彼らの生き様は熱いですね。


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